#002
試作品つくってみた!
〈建材・内装材編 〉
「子ども部屋にフィットする、パステルカラーの「ドアハンドル」 をつくってみた!」
公開
塗装やメッキをはじめとする表面加工を手がけるワカヤマ。製造受託企業なので基本的にはお客様から依頼のあった製品しかつくりませんが、社内の「ものつくり戦略室」では日々さまざまな製品企画のアイデアが生まれています。
「こんな製品があればいいよね」「ワカヤマならつくれるんじゃない?」。それぞれのアイデアについて話し合ううちに、社員たちの“つくりたい欲”は高まるばかり……。
ならばつくってしまおう!ということで、「試作品、つくってみた!」プロジェクトが始動。
誰にも頼まれていないのに勝手に試作品をつくる、その過程の一部始終をお届けします。
MEMBER
-
株式会社ワカヤマ
ものつくり戦略室
山本 -
株式会社ワカヤマ
ものつくり戦略室
田中 -
株式会社ワカヤマ
営業
藤林 -
株式会社ワカヤマ
営業
西野 -
株式会社KATATI
オチ・アキラ -
株式会社KATATI
越智ゆみ
STEP1
製品企画のためのヒアリング with 設計士
じつは第二弾となる今回のアイテムは、前回ご紹介した初回の企画会議の際にスイッチプレートとともに発案されたもの。なので、会議の参加メンバーも前回とほとんど変わらず、弊社ものつくり戦略室の山本と田中、営業部の西野、本ウェブサイトの企画・運営を担当する株式会社KATATIの越智ゆみとオチアキラの面々になりました。
前回もお伝えしたとおり、会議では、建物の内装デザインの仕事も手がける越智が口にした「スイッチプレートなどの建材は色や加工のバリエーションが少ない」という言葉をきっかけに、カーテンのふさかけ、ドアノブ、ダウンライト、スイッチプレートといった試作品の候補がいくつか挙がりました。それらの中から試作するアイテムを決定するため、設計士の小栗高志さんにヒアリングをおこなうことに。
二級建築士 小栗 高志
OGURI DESIGN OFFICE 代表
2005年に大阪芸術大学を卒業後、大手内装設計施工会社勤務を経て、
2014年「OGURI DESIGN OFFICE」設立。店舗、オフィス、住居などの設計デザインを行う。
「YOHJIYAMAMOTO」の店舗内装デザインの実績多数。
ところがいざヒアリングしてみると、小栗さんは試作品候補として挙がった前述のアイテムにあまり興味を示してくれません。建築士にとって、内装デザインの肝となる建材はクロスや床材であって、たとえばスイッチプレートのような建材は「デザインの邪魔をするので本音を言えば設置したくないが、住居や店舗の機能として必要なので仕方なく設置している」パーツ。なるべく目立たせたくないので、色を塗ったり加工をしたいとは思わないのです。
スイッチプレートなどは何の変哲もない既製品で十分なんですよね……。
予想外の展開に一同は戸惑いますが、営業の西野が色見本帳を取り出して見せると、小栗さんの表情に変化が。
ワカヤマでは塗料を専任のスタッフが自社で調色しているため、お客様が要望するあらゆる色での塗装が可能。「やや赤味がかったベージュ」などの繊細な色も表現することができます。
こんなに繊細な色で塗装することができるんですか?
そうなんです。ワカヤマは塗料を自社で調色しているので、複雑な色も曖昧な色もお任せください。
これならどんな色の壁紙にも馴染むスイッチプレートができると思いませんか?
そんなやりとりをきっかけに、近年のトレンドであるグレー系の色で統一された空間に馴染むスイッチプレートを試作することになった前回。このとき小栗さんが色見本帳をみながら何気なくつぶやいたひとことをプロジェクトメンバーは聞き逃しませんでした。
子ども部屋用に、パステルカラーに塗装したドアハンドルがあってもいいかも。
それだ!!!!!
このようにして、第二弾のアイデアが固まっていったのです。
STEP2
具体的な色と加工は? 製品詳細を詰める
次の会議では、前回決まった「子ども部屋用のパステルカラーのドアハンドル」という企画をもとに、具体的にはどの色にするのか、特殊加工の有無について議論。
メンバーそれぞれが想定した子ども部屋のイメージを提示しながら、ドアハンドルのカラー案をプレゼンします。プレゼンの趣旨は以下のとおり。
某インテリアショップのインテリアコーディネートや雑貨店の商品を参考に、パーブル系、ブルー系、イエロー系、グリーン系、ピンク系のパステルカラーを選定。ドアハンドルの一部にだけ色を塗布してもおもしろいかもしれない。
Instagramで見つけた、北欧風のナチュラルな子ども部屋をイメージ。色は、パントーンの色見本帳からグリーン系、ブラウン系、ブルー系のパステルカラーをそれぞれ複数ピックアップ。塗装の上に、ゴムのような柔らかい感触のトップコートを施す特殊加工「ソフトタッチ加工」を試してみたい。
2歳くらいの幼児の部屋を想定。色は、HTMLのカラーコードから#abd5ed(パステルブルー)、#bacfc6(パステルグリーン)、#d8d48b(パステルイエロー)、#e1c9c7(パステルピンク)をチョイス。ドアハンドルの形状は犬や猫など動物の尻尾をモチーフにしたものを採用するなど、遊びがあってもおもしろいのではないか。
ヨーロッパの子ども部屋を参考に、建材やインテリアに使われている色からグレーやくすみピンク、くすみブルー、くすみイエローなどをピックアップ。子ども部屋だからといって甘すぎる色を選ぶのではなく、大人好きのする色を選んだのがポイント。
木を多用したナチュラルな雰囲気の子ども部屋には、同じく木でできたドアハンドルを。ハンドルに、パステルカラーではなく蛍光色のワンポイントを入れる。または、流木の一部をパステルカラーで塗装してドアハンドルにする。
以上のプレゼンを受けてメンバーで議論したところ、色はほぼ全員が越智が提案した「くすみカラー」を、そして特殊加工は西野が提案した「ソフトタッチ加工」を支持。最終的に、以下の仕様で試作品をつくることが決定しました。
STEP3
工場にて塗装、加工→試作品の完成
舞台はワカヤマの工場へ移り、いよいよドアハンドルにカラー塗装とソフトタッチ加工を施すフェーズへ。制作を担当したのは、前回と同じく勤務歴◯◯年の職人・高島◯◯です。今回の色は、くすみピンクやくすみブルーなど、ニュアンスのある曖昧な色だったために、熟練の職人にとっても調色のハードルが高いかもしれない……と心配するプロジェクトメンバーたち。案の定、作業がはじまったその日のうちに、職人の高島から連絡がありました。
作業の進捗はいかがでしょう……?
できたよ。
えっ?
塗装と加工が完了した。
まじですか、はやっ!!!!
なんと、ものの数時間で作業が完了したと言うのです。複雑な調色や焼付塗装、ソフトタッチ加工も、高島にとっては「いつもやっていること」なのだとか。そうして完成したドアハンドルの試作品がこちらです!
一見して「これはいい……!」と絶賛するメンバーたち。このカラードアハンドルを空間設計のプロはどう評価してくれるのでしょうか。後日、大阪の小栗さんを訪ねて完成品を披露しました。
小栗さん、先日話したドアハンドルはこうなりました。
おお、すごい。まず、色の再現性がすばらしいですね。こんなに曖昧な色もきちんと出せるんだ。めちゃくちゃかわいいです。
私も職人さんの技術の高さに驚きました。
あと、質感も良い。冷たくない感じがします。
それもソフトタッチ加工というワカヤマが得意な技術なんです。
こういう色合いや質感だと、白いドアによく似合いそうだし、どうせなら蝶番やドアクローザーも同じ色で統一してもいいかも。いち消費者としても、たとえば戸建住宅のプランにそんなオプションがあればうれしいですね。
建具周りだけでなく、部屋の中のカーテンレールなど、子ども部屋にある金属類はすべて同じ塗装と加工で仕上げる「キッズシリーズ」のようなメニューをつくってもいいかもしれないなどと、次々にアイデアを提案してくれる小栗さん。どうやらお眼鏡にかなったようですが、設計士としての現実的な質問も。
ちなみに、費用はどのくらいかかるんですか?
仮にハウスメーカーなどがカラードアハンドルをオプションにしたとしても、顧客の予算を大きくオーバーしてしまってはニーズが見込めない。小栗さんの心配はもっともです。ワカヤマでは、そうした懸念を払拭するさまざまなプランをご用意しています。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
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