文房具・万年筆キャップ先端(アルミ)の表面デザインとカラー塗装事例 - イロトカ

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#007

セーラー万年筆株式会社 様

「万年筆」のイメージを刷新!
老舗文具メーカーが市場に投入した
画期的な機能・デザイン・色で魅せる新製品

公開

  • カテゴリー:文房具
  • 製 品:万年筆
  • 加 工:塗装、薄膜、アルミコーティング
  • 風合い:艶、パール
  • カラー:グリーン、レッド、ブラック ほか
  • 素 材:アルミ

1911年創業のセーラー万年筆株式会社様。言わずと知れた文具メーカーの老舗で、戦後まもなく日本初の国産万年筆を製造。その後も日本初のプラスチック射出成型で量産する万年筆を、さらには他社に先駆けてカートリッジ万年筆を開発するなど、長きにわたり文具マーケットを牽引してきました。そのチャレンジ精神はいまも変わらず、2024年にはペン先の調整が自由にできる画期的なアジャスタブル万年筆「TUZU」を発売。それまで万年筆になじみがなかった若年層にも好評を博し、日本文具大賞2024の機能部門優秀賞に輝きました。

その「TUZU」の製造の一部を、ワカヤマがお手伝いしています。ワカヤマとの出会いから発注いただくに至った経緯、製造にまつわるエピソードまで、セーラー万年筆のみなさまにお話をうかがいました。


お話を聞かせてもらった人

  • セーラー万年筆
    株式会社
    製造本部広島工場
    生産管理部
    購買課
    松本 秀敏 様

  • セーラー万年筆
    株式会社
    製造本部広島工場
    生産管理部
    購買課
    髙田 洸 様

  • セーラー万年筆
    株式会社
    開発本部
    企画開発部
    企画開発課
    坪川 元昭 様

  • セーラー万年筆
    株式会社
    開発本部
    徳増 克巳 様

お話を聞いた人

  • 株式会社ワカヤマ
    営業部
    西野成太郎

出会いの場は、展示会。

ワカヤマを知ってすぐに福井工場を訪問

西野:

みなさま、お忙しいなかお時間をいただきありがとうございます。
本日は御社の広島工場でお話をうかがえるとのことで、広島購買課の松本さまと髙田さま、そして企画開発課の坪川さまと開発本部の徳増さまにはオンラインでご参加いただいています。松本さまと髙田さまとは普段から頻繁にやりとりをさせていただいていますが、まずはお二人の社内での役割を教えていただいてよろしいでしょうか。

創業の地・広島県呉市にある本店にてお話をお伺いしました

松本:

私が所属する広島購買課は、ワカヤマさんのような製品パーツの製造にご協力いただいているメーカーさんへの発注をおもな業務としています。
東京本社の企画開発部で企画された製品の仕様を元に、外部で製造する必要のあるパーツをわれわれが発注する。その後、必要なパーツをすべて広島工場に集約して製造するという流れになります。

髙田:

私も松本と同じ広島購買課に所属しています。今年の4月に配属されたばかりですが、それまで所属していた成形グループでも材料やパーツにかかわる業務をしていました。当時の経験が購買課での仕事にも役立っていると感じているところです。

西野:

続いて、開発本部の徳増さま。お話しさせていただくのは初めてですよね?

徳増:

はじめまして、徳増と申します。私は東京の開発本部で製品企画に携わっています。当社は広島工場にも研究開発チームがあるのですが、そちらでは製品の設計やインクの開発がメインになります。企画開発課では製品企画やデザイン開発、それから販売ツールの制作を担当しています。

西野:

坪川さまも普段は東京におられますが、じつはお会いしたことがありまして。

坪川:

私は東京本社で製品企画に携わっている一方で、20年近く購買課の業務にも関わっているんです。新製品の「TUZU」を開発するにあたり、製造のお手伝いをしてくれるメーカーさんを探していたところ、展示会へ行ったスタッフからワカヤマさんの存在を教えてもらいました。

西野:

それで、坪川さまが弊社へ足を運んでくださったのですよね。

坪川:

スタッフから報告を受けてピンときたので、私を含めて4名ですぐにうかがいました。

西野:

いまだから言えますが、最初に坪川さんたちが来てくださったのを見て、戦々恐々としてしまったんですよ。1人か2人をお迎えするつもりで気楽にお待ちしていたら、見るからに「お偉いさん」といった風情の方々が4名もいらっしゃったので……。

坪川:

驚かせましたか? それは失礼しました(笑)。

老舗ならではの高い品質基準を
2社間のコミュニケーションでクリア

西野:

わざわざ4名の方々に足を運んでいただき、御社が新製品にかける並々ならぬ熱意を感じてこちらも身が引き締まる思いでした。あらためて、「TUZU」とはどんな製品なのか、コンセプトや概要を教えていただけますか?

徳増:

かつて万年筆は日常的な文具として広く使われていましたが、近年は趣味嗜好の対象になりつつあり、とりわけ若年層では万年筆を使ったことがないという人も少なくありません。そんな方々に、万年筆のすばらしさを知っていただきたい。あるいは、昔使っていたけれど離脱してしまったというような方々に、もう一度、万年筆を手に取っていただきたい。そんな思いで開発した製品です。

西野:

徳増:

おっしゃるとおり、色にはかなりこだわりました。「TUZU」のデザインチームにはターゲット層に近い若い女性がいるので、若い女性が好む色やトレンドカラーを取り入れながらデザイン案をつくっていきました。

西野:

そうして完成したのは、装飾を排したモダンでミニマルなデザインです。そのぶん、やはり色や質感で勝負されているな、と。発売当初の「TUZU」は5色展開でしたよね?

「TUZU」発売当初の5色カラーリング

坪川:

ええ。キーカラーのグリーンをはじめとする5色です。どの色も万年筆のボディは既に仕上がっており、キャップ先端の蓋栓部分は外部の事業者さんに塗装をお願いすることになりました。具体的には「蓋栓をボディと同じ色に塗ってください」というのがわれわれのオーダーです。ところが、試作品をつくってもらってもうまくいかない。

西野:

ボディやキャップの素材は樹脂ですが、蓋栓部分の素材はアルミですよね。アルミに明るい色を塗装すると、下地の色が透けて見えたりしてむずかしいんですよ。

坪川:

そのせいで塗膜を重ねるからか、なかなかボディと蓋栓の色が合致しない。しかも何度か塗っているうちに、蓋栓にあしらった円形の細い溝が塗料で埋まってしまうんですね。それが当初の最大の課題であり、新しい事業者さんを探していた理由でもあります。
そんななかワカヤマさんに出会い、課題をお伝えしたところ、ボディと同じ色で、溝をしっかり活かしたうえでうまく塗ってくださった。

ワカヤマが塗装させていただいた「TUZU」のキャップ先端箇所

西野:

当社は鯖江のメガネのパーツ塗装を得意としてきた会社です。メガネのパーツには彫金などの細かな装飾が入っていることが多く、それらを消さずに仕上げるには薄膜で塗装する必要があります。なので、調色や薄膜の塗装には自信がありました。ただ、それにもかかわらず、最初は御社が求める品質の水準に届かなくて……。

坪川:

うちは品質チェックがいろいろと厳しいんですよ。他社さんにも「厳しすぎる」とよく言われます。

西野:

本当に厳しかったですね。普段の依頼では2~3回試作すればお客さまの希望通りに仕上げられるところを、「TUZU」の場合は4~5回かかったと記憶しています。

松本:

現場の担当者としては、何度も試作をお願いするのは心苦しかったです。それでもコミュニケーションのたびにしっかりと修正し、最終的に良いものを仕上げてくださった。こちらのチェックも最初は全数検査をしていましたが、品質がしっかりしてきたのを見て、途中から抜き取り検査に切り替えました。

坪川:

当時、3社のメーカーさんに蓋栓の塗装をご相談していたのですが、最終的に当社の検査基準をクリアしてくれたのはワカヤマさんだけです。それでワカヤマさんにお願いすることに決めたという経緯があります。

増員と工程改革で、

生産効率を高め安定供給を実現

西野:

松本さんや髙田さんが的確なアドバイスをしてくださったおかげで品質はクリアできたものの、それでも安心はできませんでした。というのも、当時のワカヤマにはいまほどの生産能力がなく、求められる数量に応えられるかどうか自信がなかったんです。

松本:

私も坪川と一緒にワカヤマさんの工場を見学したことがあります。手吹きで塗装する職人さんたちの技術力に感心する一方、生産能力は大丈夫かな? と少し不安を感じたのが正直なところです。とはいえ、すでに「TUZU」の発売日は決まっていましたから、多少無理のあるお願いになってもやってもらうしかありません。そんな事情もあり、製造が始まった当初は頻繁に進捗を確認してしまいましたよね。西野さん、内心はいやがっておられたんじゃないですか?(笑)

西野:

いえいえ、とんでもない。ご要望に応えるため、こちらも細かく生産計画を立てて現場に発破をかけたのですが、なかなか追いつかず、心苦しい思いをしていました。
そこで「TUZU」専用の治具を開発したり、塗装の方法を工夫したり、検品スタッフの人数を増やしたり。複数の施策を講じて、少しずつ生産能力を上げていきました。この点に関しては完全に御社に鍛えていただいたと感謝しています。

松本:

私も初めてお付き合いするメーカーさんと「ああでもない」「こうでもない」と言いながらコミュニケーションを重ね、イチから緊密な関係を築き上げた経験はそれまでありませんでした。新鮮味のある良い経験になったと思っています。

坪川:

ワカヤマのみなさんががんばってくださったおかげで、発売日に間に合いましたしね。

「TUZU」のブランドカラーであるグリーン

西野:

無事に発売日を迎えて初めて、ようやく肩の荷が下りました。その後、「TUZU」が日本文具大賞2024の機能部門優秀賞を受賞したと知ったときは自社のことのようにうれしかったです。

坪川:

そう言っていただけると私たちもうれしいです。ありがとうございます。

トレンドカラーや新技術を積極的に取り入れ

万年筆の普及を促進したい

西野:

2024年春に「TUZU」が発売されてから、1年半以上が経ちました。今後、ブランドの新たな展開は計画されていますか?

徳増:

まずは新色の投入ですね。色の好みはそれこそ十人十色なので、市場の反応を見たり、その時々のトレンドカラーを取り入れたりしながら多色展開していきたいと考えています。実際、発売当初は5色だったカラーがいまは7色になり、それに加えて期間限定のシリーズも何度か発売しています。

「TUZU」のカラーリングは5色から7色へ

髙田:

そういえば、2024年9月に発売した期間限定シリーズ「Glassy」の蓋栓は、ワカヤマさんにカラーを提案していただきましたよね。透明のボディを採用したクリアなヴィジュアルなので、蓋栓にパール系の色を使うことになり、ワカヤマさんに聞いてみようと。

「TUZU」の期間限定シリーズ Glassy
「Glassy」のキャップ先端箇所もワカヤマが塗装

坪川:

デザイナーからパール系の色を使いたいと要望があったので、それをワカヤマさんにお伝えしたんですよね。すると2色ほど提案してくださったので、その中から選ばせていただきました。

西野:

パール系のホワイトを2種類提案しましたが、あれは現場の職人が提案してくれた色なんです。もちろん私のようなビジネスサイドの人間からご提案することもありますが、職人もただオーダー通りに作業するだけでなく提案することができる。それが私たちの強みかなと思います。

坪川:

ワカヤマさんが提案してくださった色をデザイナーも気に入っていましたよ。

西野:

ありがとうございます。

徳増:

そうしたご提案は大歓迎です。今後は塗装にかぎらず、たしかワカヤマさんはメッキ加工もできるのですよね?

西野:

はい、できます。

徳増:

さきほど西野さんからメガネの装飾のお話がありましたが、万年筆も、とくにハイエンドモデルは繊細な装飾がデザインの肝になる製品が多いんです。御社がメガネのパーツにしてきたのと同様に、万年筆の装飾を消さずにむしろ引き立てたり、高級感や重厚感が出るようなメッキ・塗装で仕上げていただく。そんなことにも期待したいです。
われわれは創業時からずっとチャレンジ精神を大切にしていて、新しい技術の導入には積極的な会社です。メッキ・塗装以外の表面処理も含めて、まだ世に出ていない新しい技術をお持ちでしたら、他社さんにお話しされる前に、ぜひわれわれにご提案いただけるとうれしいですね(笑)。

西野

もちろんです!(笑) こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。

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お話をお伺いした企業様
文房具・万年筆キャップ先端(アルミ)の表面デザインとカラー塗装事例

セーラー万年筆株式会社 様


1911年創業のセーラー万年筆株式会社。日本初の国産万年筆をはじめ、量産化やカートリッジ式の開発など、文具の歴史を切り拓いてきた老舗メーカーです。2024年にはペン先の調整が自由にできるアジャスタブル万年筆「TUZU」を発売し、日本文具大賞2024の機能部門優秀賞を受賞。万年筆初心者にも支持を広げています。万年筆に少しでも興味がある方は、ぜひリンクから、長く寄り添う素敵な商品をご覧ください。

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